こんにちは、あおパパです。
今回紹介する書籍は、「メタバース進化論」です。
皆さんはメタバースという言葉を聞いたことありますか?
去年Facebookの社名がMetaに変更となり、大きな話題になりましたね。
本著はソーシャルVR原住民である著者の経験と、世界のソーシャルVR原住民1200人に向けたアンケートの内容を中心に展開されています。
そのため、現在進行形で進むメタバースの状況が最も明確にあらわされている著書といっても過言ではないと思います。
あなたもメタバースの世界にどっぷりつかってみませんか?
ソーシャルVRとは・・・
オンライン仮想三次元空間でアバターの姿でコミュニケーションを行うことができるサービスでVRゴーグルを使用した没入体験が可能なもの。
本のあらすじ
著者は、自称世界最古の個人系VtuberでソーシャルVR原住民として活動されているバーチャル美少女ねむさんです。
youtubeチャンネルはこちらをご覧ください。
メタバースとは、メタ(超)+バース(世界)の組み合わせによる造語で、元々はアメリカのS小説「スノウ・クラッシュ」(1992)で登場したものです。
本著では、「リアルタイムで大規模多数の人が参加できるオンラインの仮想空間」とし、以下の7つを持つオンライン空間をメタバースと定義しています。
- 空間性
- 自己同一性
- 大規模同時接続性
- 創造性
- 経済性
- アクセス性
- 没入性
「②自己同一性」とは、「自己を投影した唯一無二の自由なアバターの姿で存在できる空間」であり、「⑥没入性」とは、「VR・ARのような没入手段が用意されており、まるでその世界にいるような没入感のある体験ができる」としています。
また、現在世界で利用されているソーシャルVRの紹介や最新のVR機器、経済性やメタバース内での恋愛事情など、様々な視点で書かれています。
以前ご紹介した「世界2.0」という著書とはまた違う視点で、本当に面白く興味深い本でした。

● メタバースの世界に飛び込みたい人
● メタバースに住む人たちがどのように生活しているか興味のある人
● 最新のVR機器やメタバースの経済性について学びたい人
影響を受けた内容
この本を読んで特に影響を受けた内容を3つご紹介します。
ソーシャルVRサービスについて
みなさんは、実際にどの程度のサービスがあるかご存じでしょうか。ちなみに、私はまったく知らなかったです。
まずは、現在どのようなソーシャルVRサービスがあるか。そして、周辺機器がどのくらい進化しているかを見ていきましょう。
代表的なソーシャルVRサービス
ソーシャルVRサービスの中で、特に利用者が多い4つのサービスを紹介します。ちなみに、すべて無料で楽しむことができます。
サービス名 | 特徴 |
VRChat | 人気No1のソーシャルVR。圧倒的な人口と、自由度の高い豊富なコンテンツ。アバターやワールドを個人で自由にアップロードできる。 |
NeosVR | VR内でアバターやワールドの作成、プログラミングなどの作業が可能。高スペックが求められるが、最高のメタバースを追求している。 |
cluster | 音楽イベントや技術カンファレンスなど、大規模イベントをVR上で行う場合に適している。メタバース時代のイベントホール。 |
バーチャルキャスト | ニコニコ動画が生んだ配信のためのメタバース。配信に必要な機材や小道具なども豊富で、VTuberのライブイベントなどでも使われる。 |
人気のサービスでもそれぞれ特徴がありますね。そのため、複数のサービスを利用している人が多いようです。
また、周辺機器もかなり技術が進んでいます。VRゴーグルはもちろんのこと、手足や顔の表情までVR上で再現したり、体に触れる感覚まで再現するものも出ています。
テスラで有名なイーロン・マスク氏が経営する米ニューラリンクで、脳に直接電極を埋め込むBMI(Brain Machine Interface)も開発が進んでいます。
サービスと周辺機器が相互にアップデートされていくことで、より現実の感覚に近い、高い没入性を体験できるようになりますね。
「分人経済」と「超空間経済」
メタバースを語る上で外せないのは、「経済」です。儲けられる環境じゃなければ参入者は頭打ちしますよね。
その中で特に重要となるであろう、2つの概念を紹介します。
「分人経済」
「クリエイターエコノミー」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
個人がクリエイターとしてスキルを活かし利益を得る経済圏のことで、youtubeやSNSを中心に大きな広がりを見せています。
そして、「分人経済」とは、クリエイターエコノミーの進化版です。
メタバースの世界では、「名前」「アバター」「声」の三つの軸で自分自身のアイデンティティをデザインします。そのアバターが自分の「分人」として、経済活動も行うようになります。
クリエイターエコノミーでは、どうしても「個人」の枠に収まってしまいます。でも、「アバター」を使うことで、クリエイターごとに好きな容姿や声。性格など自由に使い分けて仕事をすることができるのです。
VTuberは分かりやすい例だと思います。著者自身が実践されているので説得力がありますね。
「超空間経済」
「超空間経済」とは、一言で言うと「空間経済」の先を行くものです。
空間的側面に着目して考える経済学である「空間経済学」という考え方があります。
物理的な空間(現実世界)は、存在する都市や地形に対してシミュレーションにより最適化し、経済を発展させていきます。
しかし、メタバースではその空間自体を自由にデザインすることができます。地球という枠を超えた、「超空間経済」が生まれるということです。
いくつかの活用事例がありましたが、特に興味深かったものを紹介します。
それは、2021年の「さっぽろ雪まつり」です。
2021年の雪まつりは新型コロナウイルスの影響で現地での開催を見送ることとなりました。
そこで、メタバースでは有志ボランティアの活動で、V雪(バーチャル雪まつり)を企画しました。
結果的に、本家さっぽろ雪まつり公認となり、来場者数は1万人を超えたそうです。
検索してみると、今年のイベントページもすでに存在しました。スマホでも気軽に参加できるので、参加してみたいなと思いました。
ファントムセンス
ファントムセンス(VR感覚)とは、「メタバースの世界で風を感じたり、他の人にアバターを触れられたときに触覚を感じる」といった現象のことです。
本来、視聴覚のみが再現されるVRの世界で、なぜそれ以外の感覚を感じることがあるのでしょうか。
説明に用いられるものとして、認知心理学などの用語である「クロスモーダル現象」と「共感覚」が挙げられます。
最も多いのは「落下感覚」で、そのほかにも「風」や「触覚」、「温度感覚」など様々です。
ソーシャルVRの世界ではアバター同士のスキンシップも多く、頭をなでられたり、頬を触れられたりすることも、実際の感覚として感じるみたいですね。
ファントムセンスを感じない人も中にはいるそうですが、「ファントムセンスを生やす」方法もあるそうです。催眠セラピーとして、大人気だそうですよ。
<クロスモーダル現象>
本来別々の感覚が互いに影響を及ぼしあう現象。例えば、赤いシロップを見ると、イチゴ味を連想してしまうこともこの現象です。
<共感覚(シナスタジア)>
ある刺激に対して、本来起こるべき感覚以外の感覚が自動的に生じる現象。音楽を聴いてると、「色にはっきりと色がついて見える」という人もいるそうです。
心に残った一文
最後に本著を読んで一番心に残った一文を紹介します。
本人の技術や、お互いの共通認識、そして相手との掛け合いによって生み出された、本来ないはずの理想の存在であり、集合知による一種のアート作品なのです。
「美少女」とは、「枯山水」なのです。
枯山水は、砂や砂利だけで水の流れを表現する日本庭園の様式です。

こんな発想したことありませんでしたが、不思議と納得感がありました。
メタバースの世界が浸透すれば、当たりまえの感覚になってしまうかもしれませんね(笑
最後に
今回は、「メタバース進化論」を紹介しました。
現在のメタバース。特にソーシャルVRの世界を知る本としては、最適な本と言っても過言ではないかと思います。
具体的な調査とソーシャルVR原住民の知識・経験から書かれる文章は説得力があります。
まだまだ黎明期と言えるメタバースの世界ですが、着実に進化を続けていることを実感できますよ。
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