こんにちは、あおパパです。
今回紹介する書籍は、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」です。
私はシステムエンジニアという職業柄、AIに関する情報もよく耳にします。
子供の教育にも関心があり、AIが将来の職業にどう影響するのかも気になっていました。
そんな時、ふと目に留まったのがこの本です。
AIによって社会は将来どうなるか。AIによって淘汰されない子供をどう育てるか。
そんな漠然とした疑問に対して、教育AIの最前線で活躍する専門家の考えが凝縮された著書です。
SEとして、子供の親として。この本を読んで感じたことを紹介していきたいと思います。
本のあらすじ
AI研究者でAIで東大合格を目指す「東ロボくん」の開発に携わった新井紀子さんの著書です。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)概念と仕組みを始めとして、AIが得意なこと。AIにできないこと。AIの限界。
そして、テーマである今の子供たち(中学・高校生)の問題点とそれによってもたらされる最悪のシナリオ。
AIによって仕事が奪われない、将来必要とされる人材について書かれています。
※ここでのAIは「AI技術」です。人と同等の知能を持つ「真の意味でのAI」は存在しないと、本著の冒頭に書かれています。
● AIとAIに奪われる可能性がある将来について興味がある人
● 今の子供たちの弱点を詳しく知りたい人
● 自分の子供への教育について、AIと紐づけた知識が欲しい人
影響を受けた内容
この本を読んで、特に影響を受けた3つをご紹介します。
シンギュラリティは来ない
シンギュラリティ(singularity)とは、日本語で、「技術的特異点」となります。
AIの世界でのシンギュラリティについて、本著では以下のように説明しています。
[真の意味でのAI]が人間の能力を超える地点
映画や小説などではAIが自我をもって戦争や反乱を起こすという話はよくありますが、本当に起きえるのでしょうか。
これは、ほぼシンギュラリティの到来と同意のような気がします。(個人の感想ですが。)
本著では、脳が行っている全てを数式に翻訳する必要があり、それができなければシンギュラリティの到来は起きないと述べています。
子供の教育の方に興味があってこの本を読み始めましたが、衝撃度はこれが一番でした。
漠然と、ドラえもんのようなロボットも近い将来出てくるのかと思っていましたが、そんな未来はそう簡単には訪れないということです。
AIに奪われない仕事に必要な能力
ロボットやAIに奪われる仕事、将来も残る仕事は最近目にする機会はあったかと思います。
ただ、具体的にどのような能力が必要なのでしょうか。
本著では、「AIが不得意な分野。高度な読解力と常識、人間らしい柔軟な判断」が求められると書かれています。
自分の仕事に不安を感じる人は多いと思います。私もシステムエンジニアですが、プログラミングは近い将来ほとんど書く必要はなくなる気がしています。
ただ、逆を言うと上記に書かれている必要な能力を鍛えておくことで、仕事には困らないというのも理解できます。
私はシステムエンジニアの中でも対顧客システムの構築がメインですが、お客様との調整(金銭面、仕様面)、プロジェクト管理、要員管理、新技術の習得、社内調整。
必要能力を磨いていくことで、十分に生き残れるという感じています。
今の子供は教科書が読めない
本著のテーマなっていることですが、私自身、この表紙を見たときに興味をそそられました。
「教科書が読めない」とは、どういうことなのでしょうか。
「東ロボくん」の開発と同時に、「大学生数学基本調査」というものを行ったそうですが、その結果を検証していくうちに以下の確信を得たそうです。
どこの大学に入学できるかは、学習量でも知識でも運でもない、論理的な読解と推論の力なのではないか
ここから、リーディングスキルテスト(RST)を開発し、全国の中高校生2万5000人に対する基礎的読解力調査を実施したそうです。
その結果が本著で詳細に記されていますが、まとめ部分を一部抜粋します。
・中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない
・学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない
なかなか衝撃的ですよね。AIに仕事を奪われないためのスキルとして重要な読解力が、今の子供たちに不足していることが明確にわかる結果でしょう。
そして、「じゃあ、どうやって読解力を上げたらいいんだー!」ってなりますよね?私もこれを読んでいた時に思いました。
実は、実際のRSTのサンプルテストや鍛え方を詳しく解説している本が、本著の続編である「AIに負けない子どもを育てる」という本に書かれています。

心に残った一文
最後に本著を読んで一番心に残った一文を紹介します。
読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマートフォンの利用時間や学習時間などの自己申告結果と基礎的読解力には相関はない
正直、シンギュラリティの到来の衝撃が一番だったのですが、上記内容も驚きだったので、ここに選びました。
もし、「自分の子供の読解力を上げないといけない」と考えた場合、皆さんはどうしますか?
私なら、確実に本を読ませます。(本好きですしね。)
実際に子供にはたくさん本を読ませる努力もしています。
ただ、それでは読解力は伸ばせない。そこが知れただけでも収穫はあったと感じます。
最後に
今回は、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を紹介しました。
私は悲観的な未来より子供の教育に興味がありこの本を読んだので、教育部分中心の内容となっていますが、AIの未来、企業の未来、仕事の未来についても言及しています。
自分のこれからを考えるのも大切ですが、親なので、やはり子供の将来を考えていろいろなことを教えられるように知識をつけていきたいですね。